
前回は、網張温泉登山口のゲートが閉まっていたため、松川温泉登山口に回ったのですが、初めてのコースで勝手がわからず、また、あまりの急登と残雪のため撤退となりました。
今回は、6月4日にゲートが開くという情報だったため、6月5日に行ったところゲートも開いており、また、天気も晴れ渡って文句なしと好条件でした。
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紹介動画(1分)
登山道を登り、小屋に向かう
ゲートが開通したばかりで、また、土曜日ということもあり、かなりの登山客がいるだろうと思ってきたのですが、ところが、一番奥の登山口までスイスイと行けて拍子抜けでした。
そして登山口で登る準備をしながら、他の登山客らを見ていたところ、皆が山登りの恰好ではなく、なんかの作業みたいな恰好だということに気が付きました。
なんなんだろう?
登山道の整備をしている関係者なのかと思って見ていました。
登り始めて見てみると、その人たちは、登山道から外れて山の中の藪の中に入っていくのではないですか。
そうなんです、かれらは登山客ではなく、山菜取りだったのです!
聞いたところ、隣の秋田県から大挙してきており、しかも、山菜取りのプロだということでした。
取っている山菜はネマガリタケで、ヒメタケとも呼ばれており、1日で数万円分も取るということです。
数年前に秋田で、山菜取りのお年寄りが、クマに襲われ4人も亡くなった事件がありましたが、秋田の山菜取りのお年寄りと聞いて、そのことが脳裏に蘇りました。
確かに、1日で数万円になるならいい稼ぎですが、命には代えられませんよね。
これまで問題なく取ってきたのでしょうが、一度人を襲ったクマというのは、人間を餌として見るようになるため大変危険なので、このようなクマがいる山には絶対入ってはダメなのです!
あと面白いと思ったのは、山菜を運搬するカートや背負子が、道路脇のガードレールに置いてあったのですが、どれもこれもチェーンでしっかりとガードレールに括り付けてあったのです!
こんな田舎で、しかもカートや背負子を盗む人がいるのかとおかしくなりましたが、たぶん盗まれたことがあったのでしょう・・
登山道の前半は舗装された道を歩くのでとても楽で、それでも遠くには秋田駒ヶ岳や乳頭山も見渡せ、見晴らしのない中登るのと比べると楽しく登れます。
そして舗装道路が終わりますが、そこにはお約束の「熊出没注意」の看板が大きく立ててあり、改めて気を引き締めて登ることになり、腰のクマ除けスプレーも再確認しましたよ。
本来の登山道に入ってから少しすると、大きく開かれたところに出るのですが、そこからは秋田駒ヶ岳や乳頭山がさらによく見渡せ、ここまで登ってきた疲れが一度に吹き飛びました!
やはり、この眺めが登山の醍醐味と言えます!
しかし、ここまでで登山客に会ったのは数組だけで、降りてきた人に聞いても小屋泊りはいないということなので、また私一人で静かに過ごせるとうれしくなりました。
もうすぐ小屋というところに水場があり、イイ感じに湧いていて、これで水の心配はないと安心しました。
水場のところから木道になっているのですが、木道の両脇には湿原が広がっており、そこにはミズバショウの群生が広がっていて、目を楽しませてくれました。
小屋に着き、絶景と料理を楽しむ
去年の秋以来の三ッ石ですが、ミズバショウが咲き誇る素晴らしい季節で、その上ピーカンに晴れ渡っており、そこを貸し切りで楽しめるとは、ほんとにラッキーでした!
三ッ石小屋の命とも言えるのが、小屋前にある大きなテラスで、下にはミズバショウの湿原が広がり、目の前には三ッ石山の頂上がその素晴らしい威容を誇っています。
さあ、料理が出来たらこのテラスで、湿原と三ッ石山の絶景を眺めながら飲みましょう!
山小屋は大抵の場合、板の間や床が埃や泥で汚れているので、まず掃除をしてから泊りの準備をすることになるのですが、この時の小屋は、掃除したばかりのようにきれいで助かりました。
実は登ってくる途中で、ボランティア活動で、登山道を整備している人たちに会ったのですが、たぶん、その人たちが掃除していったのでしょう。
小屋の東側の窓からも湿原が見渡せましたが、その湿原でカエルの合唱が続いており、こんなきれいな湿原にいられるのがうれしいとでもいうふうで、まさにカエルの楽園だと感じました。
まず寝床の準備をして一息ついたら、またテラスからの絶景湿原と素晴らしい三ッ石山を眺め、余裕のある小屋泊りの楽しさをしみじみと味わいました。
さて料理ですが、いつものように基本肉は使わず魚や野菜中心で、トマト煮込みのごった煮でしたが、味は適当でも、この景色の中で食べるのは格別です!
以前は、小屋での料理は焼肉ばかりだったのですが、ある理由で肉料理はやめることにしました。
そしてその理由は、あまりにショッキングなことなのです!
肉を作るには当然動物を屠殺しなければならないのですが、その屠殺の仕方がけっこう残酷だというのです。
例えば牛などを屠殺する場合は、眉間に屠畜銃を撃ち失神させ、片足を釣り上げて逆さ吊りにして、喉を切り裂いて失血死させるというのです。
ところが、失神は失敗することもあるし、首を切られてから意識を取り戻すこともあるということで、結局苦しみながら死ぬことになるのです・・
それまで餌を与えてくれ、世話をしてくれるのですから、牛は人間を親だとも思うわけで、それがその親に殺されるという酷い話になるのです。
そんなことまでして作った肉を、安いから、おいしいからといって食べる必要もないということで、魚や野菜中心の食生活にしたのでした。
さあ、貸し切り絶景テラスで、湿原と山を視ながら、山の風に吹かれていただきましょう。
そして一眠りして夕方になると、テラスからは茜色に染まっていく空が、絵画のようにその素晴らしさを描いていました。
しかし、夕方になると泊りのグループが来てしまい、せっかくのひとりの静寂が破られてしまいました・・
こちらはソロなので一緒に飲もうと誘われたのですが、なんか違う気がして加わりませんでしたが、彼らの目的はただ食べるだけだったようです ← 私も変わらないのですが。
私の夜食は、これもお手軽な焼きそばでした。
翌朝は始め曇り模様だったので、山頂登りはしないつもりでしたが、5時半頃から晴れてきたので登りましたが、昨日登った登山客から聞いた通り、けっこうな雪渓が残っており難儀しながらやっと登りました。
頂上に着くと誰もおらず、前回秋の何十人もいたのとはまるで違い、静かで落ち着けました。
360度が見渡せ、登ってきた方向には岩手山がドーンと鎮座しており、他には秋田駒や乳頭山が彼方に美しい姿態を横たえていました。
いくらか風がありましたが、十分な眺めが大満足で、早速記念撮影です。
記念撮影も終わったのですぐ下山を始めましたが、地元のオジサンが登ってきて挨拶をしたのですが、このオジサンが挨拶だけでは終わらず、延々と話し続けて閉口しました・・
よほど話好きなのか、それとも普段話をする相手がいないのかわかりませんでしたが、とりあえず地元の山の情報を聞くことができました。
また下山中は、多くの高山植物も見かけ、目を楽しませてくれましたが、その中からは、話題のネマガリタケもニョキニョキと顔を覗かせていました。
さすがに頂上まできて、タケノコを取る人もいないのでしょうね。
下山は8時頃でしたが、タケノコ取りはまだ続々と登ってきたかと思うと、もうすでに十分取って下る人ありと様々でした。
登山口に戻ったらあとは網張の硫黄泉で体を癒すだけで、平日ということもあり、のんびりとゆったりと過ごせて、身も心もリフレッシュしました。

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