



目次
クマとの出会い
私の場合、山登りをしていますので、出会う機会は多いように思いますが、登山ではクマに逢うことは少ないです。
なぜなら、クマが先に人間の気配を察して逃げてしまうからです。
そのため、けっこう登っている人でも、逢ってない人が多いです。
その私が初めて逢ったのが近くの里山で、私はその頃毎日ようにその里山に、犬を2匹連れて登っていました。
そして、その里山でクマに逢うなどということは想定していませんでした。
それは、たまたま朝早く(7時頃)、いつものように2匹を連れて登っていたところ、犬たちが100mほど前で激しく吠え始めました。(山ではリード無しです)
すると、その100m離れたところに、子熊が一匹、ヒョコヒョコと出てきたのです!
私はビックリしました! 初めて野生のクマを身近で見たのです!
その時の気持ちとしては、まさに「血が凍る」というものでした。
なにせ、クマがいたら喰い殺されるというイメージですからね・・
すると、今度は母熊が現れ、立ち上がって両手を挙げて威嚇するのです!
そこで私は全くビビッてしまい、そこから登山口まで逃げ戻ってしまいました・・
ホントはこのように、逃げてしまうのはよくないことだというのはその後わかりました。
そしてそれからは、里山にはクマがいるものだという前提で登ることになり、また、クマについても調べることになりました。
クマというもの
大きさ
体長は、本州にいるツキノワグマで110~160㎝ですが、北海道にいるヒグマですと、その倍の大きさになります。
ツキノワグマの120㎝くらいですと意外と小さくて、子供のようという感じがしますね。
ところが、これにはちょっと落とし穴があって、それは、クマの体長というのは、頭から尻尾の付け根までで決まるのです。
つまり足の長さをいれてないので、立ち上がると足の分だけ大きくなるのです!
そうすると、大人と同じ大きさになるわけです。
そんなわけで、これからクマの体長が言われた時は、その大きさに足の長さを加えてください。
運動能力
あとは、その運動能力についても驚くものがありました。
まず走る速さですが、あののそのそした歩きのクマが、100mを何秒で走ると思いますか?
これも多くの人に聞いてみたのですが、なかなか当たらず、15秒くらいが多かったでしょうか。

とんでもない速さですよね!
この速さで走るのですから、絶対に逃げてはダメで、そして、逃げるから襲ってくるのです!
あとは動きも非常に敏捷で、ライオンに負けないくらいの速さですので、なるべく立ち向かわないようにしたほうがいいです。
クマの習性
そしてクマの習性としては、逃げるものを襲うということです。
例えば、複数人でクマと出会った場合、その中で最初に襲われるのは誰でしょうか?
一番最初に脱兎のごとく逃げた人と、腰を抜かして動けなくなった人のどちらが襲われるでしょうか?
そうなんです、逃げた人が襲われるのですが、それは、動くもの逃げるものを襲うというのが獣の習性だからです。犬などもそうですよね。

クマは人間を恐れている
登山では、クマが先に逃げてしまうので、なかなか逢わないと言いましたが、なぜクマが逃げるのかというと、実は、クマは人間を恐れているというのです。
そして、人間のことをよく観察していて、その結果、強い生き物だと勘違いしてというのです。
人間は山の中で堂々としている
これはどういうことかというと、例えば、ウサギや鹿などのクマの餌となりそうな動物は、常にキョロキョロと周りを警戒していて、逃げる準備をしていますよね。
クマは当然それを見て、あれは弱いから逃げるんだと襲うわけです。
ところが人間だとそうではなく、山の中でもそんな警戒をすることもなく、堂々と歩いていますよね。
人間の場合、近くに獣がいてもその気配を感じることできませんし、また、クマに逢うことも想定していないこともあり、警戒することなく堂々としているわけです。

林業の人が大木を切って倒すのを見ている
これもその通りで、林業の人がチェーンソーで大木をどんどん倒していきますが、それを見たクマは、自分らが押してもビクともしないその大木を、人間は次々と倒していくのですから、何と人間は恐ろしい生き物なのだろうと、勘違いするのです。
林道を車で走る
あと人間は、車に乗って林道を走るのですが、それを見たクマは、すごい音をたてて大きなものが動いていて、それから人間が出てくるわけですから、これによっても人間を恐れることになるのです。
山菜取りがヤバい
そんなに人間を恐れているクマですが、なぜ襲われることがあるのでしょうか?
ご存じのように、クマに襲われる確率が高いのは山菜取りです。
山菜というものは人間が取りにいきますが、当然クマも食べるので、出会う確率は高くなります。
そして山菜は、そんなに栄養があるわけではないので、クマは夢中になっていっぱい食べるそうです。
そうすると、いつもは人間の気配を感じることができるクマも、その時ばかりは食べるのに夢中になってしまっていて、クマに気付かずに近づいてきた人間に驚いてしまうのです。

この時クマは、逆に人間に襲われたと勘違いしてパニックになり、怖い人間なのに、逆襲してしまうというのです。
ところが、その強い人間のはずが、弱そうな声を出して逃げていくし、簡単に捕まるし、そして食べてみると美味しい肉だということで、それからは、そのクマにとって人間は餌になってしまうのです。
人喰いクマ
以上のように、あるきっかけでクマは人間を襲ってしまうのですが、クマにとってみれば、怖い人間のはずがそうではなく、ただの餌だとして、次々と人間を襲うようになるのです。
数年前にも秋田で、山菜取りのお年寄りが4人も襲われて死亡した事件がありましたが、このことを知っていれば、人を襲ったクマがいる山には入ることはなかったはずあり、本当に残念なことです。
ただ、そのようなクマを退治するのは割と簡単だということです。
なぜなら、そのクマは人間を恐れなくなっているので、簡単に人前に姿を現すので、そのため撃ち取りやすいというのです。
クマは人間のどこを攻撃するか
昨今、クマに襲われる事件も多くあり、私は他人事ではないので、興味深く記事を読んでいました。
そして記事には、襲われてどこを怪我したかも書いてあるのですが、大抵が、顔を引っかかれているということに気付きました。

クマにとっては、人間のほうが大きいにもかかわらず、わざわざ立ち上がって、自分の頭より高い人間の顔を引っ掻くというのです。
不思議に思ったので調べてみたのですが、すると、次のようなことが分かりました。
それは、クマは、人間の急所が頭だということを知っていて、そのためすぐ急所の頭を襲うというのです。
それが結局顔にもきてしまい、そして、顔を引っ掻かれるということでした。
なるほどと納得できる理由ですが、顔など引っ搔かれたら終わりですので、本当にコワい話です。

書籍 「人を襲うクマ」
こちらは、人を襲ったクマについて書かれた本ですが、山登りや釣りでクマに逢う機会がある人は、一読をおすすめします。
それには、いくつかのクマに襲われた事例が載っていたのですが、衝撃的だったのは、百名山のひとつである乗鞍岳での事件についてでした。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
それによると、登山客で賑わう乗鞍岳の頂上でクマが現れ、登山客を次々と襲い、8人ほどが負傷した事件があったのです。
写真の通り、乗鞍岳の頂上は、木がないガレ場ですので、クマはいないと思われていたのですが、頂上の下のほうでクマが観光バスとぶつかってしまい、狂って観光客を襲ったそうです。
その中で、ある登山客の話として、その人が頂上に向かっていた時、「クマが出たぞ」という声を聞いたので行ってみると、うつ伏せに倒れている女性客にクマがのしかかっていたそうです。
そこでその人は、クマを引き離そうとして、持っていた杖でクマの鼻をつついたところ、クマが女性から離れたので、自分もそこから逃げようとしましたが、気付いたら、もうクマが目の前に仁王立ちになっていたそうです。(まさに目にも止まらない速さです!)
そして、左前脚で頭部に一撃を食らったところ、その一撃で右目がポロっと落ちて、上の歯もなくなったというのです!

もし、運悪くこのように襲われてしまったなら、クマがどこを攻撃するかわかっているわけですから、最後の最後には、手で頭を抱えて守ってください!
そんな速さと破壊力のあるクマですので、できるだけ闘わないに越したことはないです。
クマ撃退スプレー
そんな怖いクマですが、実は、そのクマを撃退するスプレーがあります。
「カウンターアソールト」といい、値段は、6千円~1万5千円ほどで、私は次の1万2千円のを使っています。
ペットボトルほどの大きさの缶に、トウガラシエキスが入っており、これをクマの鼻や目に吹き付けると、強烈な刺激臭で、クマでもライオンでも逃げて行ってしまうというものです。
私は、腰に付けていたのを、しゃがんだ時に、間違ってズボンにスプレーしてしまったことがあるのですが、その時に、その液が肌に付いてしまったところ、肌はヒリヒリして痛くなりました!
また、手に液が付いたままで、目の辺りをこすったら目が痛くなってきました!
これだけ強烈な液でしたので、多分、この液が直接目に入ったりしたら、失明するのでないかと思います!

値段は1万2千円とは安くはないですが、命には代えられませんので、山登りや渓流釣りなどする人は必須でしょう!
ただ、これを持っていれば万事大丈夫かというとそうではないのです・・
それは、このスプレーは5~10mほども噴射するのですが、噴射時間はわずか5秒ほどしかないのです。
つまり、5~10m以内に入ってきたクマに対し、その鼻先へ5秒以内に吹き付けなければならないのですが、あの超敏捷なクマにそんなことができるでしょうか?

ということで、このスプレーを持っていれば大丈夫というのではなく、気休め程度ということになると思います。
ただ私は、次のヒグマの項で話しますが、気休めでも持つという理由があるのです。
北海道のヒグマ
さて、本州にはツキノワグマですが、北海道ではヒグマになり、大きさはツキノワグマの倍ほどにもなります。

とにかく運が良かったのか、悠然していて、こちらは、写真や動画を撮ることができラッキーでした。
私の場合、ラッキーだけで済んだのですが、北海道で会った、ヒグマに襲われかけた人の話では、その人にはヒグマが向かってきて、直前で停止したそうです!
つまり、威嚇のつもりで向かってきたようなのですが、それでも凄い恐怖を感じるのであって、その人はそれ以来、その山には登れなくなったそうです。当然ですよね。
あと、ヒグマ被害で最大のものは、大正の北海道の開拓時代のことで、7人が喰い殺された事件があったことなどを知りました。
それは「羆嵐」として、ドキュメンタリー小説にもなっています。
また、ヒグマを調べていくと、人の襲い方がツキノワグマとは違うということも分かってきました。
どのように違うかというと、ツキノワグマは、すぐに急所の頭を狙ってくるわけですが、ヒグマは大きいのでそうではなく、まずのしかかってくるというのです。
それから、動くところを喰うというのです。
つまり、手をバタバタさせればそのまま手を喰われ、そして、頭を振れば頭を喰われてしまうのです。

最悪の死に方をするのです!
私が、気休めでもスプレーを持っているというのは、このような最悪の死に方を回避するためにしていることなのです。
クマ除けペットボトル
スプレーの他に、なにかクマ除けになるものはないかと探していたら、いいものがありました。
それは、ヒグマ撃ちの猟師が考案したものですが、ただのペットボトルなのです。
その猟師は、以下の本も書いていますので、参考にしてみてください。
その本によると、クマ除けに最適なのはペットボトルで、それをどうするかというと、空のペットボトルを、適時、手で潰してすぐ放せば、当然バキバキという音を発します。
その音というのは、クマ鈴の音とも違いますし、山の中にはない音なので、クマは怯えて逃げてしまうというのです。
これですと、新たに買う必要もありませんし、また、クマ鈴みたいに常にチリンチリン鳴ってうるさくもなく、適時、手で潰して鳴らせばいいので、最適なクマ除けといえます。

私は、下のように腰にぶら下げて使っていますし、お金もかからないのでぜひ試してみてください。
あとこれでちょっと問題なのは、音を出すのはいいのですが、あまり頻繁にこれをやると、手が疲れてしまって潰せなくなるということがあります・・
まあ、これは疲れない程度にするということでしょうか。
最後は、子連れクマに注意です

私の場合、最初に逢ったのが子熊でしたが、これは非常に危険な状態だったのです!
なぜかというと、母熊は子熊を守ることに非常に神経質になっていて、たとえ普段人間を恐れていても、子熊を守るためなら躊躇なく人間を襲うからです。
私の知っている写真家の方も、登山中に襲われて、酷い怪我を負ってしまいました。
確かに、子熊自体は危害を加えることもなく可愛く、また、好奇心旺盛ですので、人間を怖がりもせず寄ってきたりします。

ということで、子熊を見たら周りをよく確認して、子熊から離れるようにしてください。
一番危ないパターンは、たまたま、子熊と母熊の間に入ってしまった場合です。
こうなると、子熊を守るために、母熊が襲ってくる可能性が高くなります!
さて、ここまで登山や渓流釣りの際の、クマ対策を述べてきましたが、いかがだったでしょうか?
